火災保険金の支払いを決定するのは誰? | 鑑定会社と鑑定人の特徴
目次
火災保険は、その名称とはイメージが違うかもしれませんが、「住まいの保険」と呼ばれるほど私たちの生活に密着している保険です。火事以外にも、自然災害による被害の補償をしてくれるものですので、自然災害(特に台風)が多く発生する宮崎県においては強い味方になってくれることでしょう。
しかしながら、その火災保険の実態はあまり知られていないのが現状です。活用頻度が少ない保険であると同時に、複雑で専門的な言葉も多いことから、契約書を読まずに契約してしまうということも少なくありません。しかも、保険金を申請してから支払いまでの過程も複雑かつ時間がかかることもあり、誰が最終的に保険金の支払いを決定するのかも知られていないという現実もあります。では、この有用な火災保険を活用するためにはどのようにするのがベストなのでしょうか。
火災保険の加入の仕方
火災保険に加入するタイミングとしては、住宅を購入した時と賃貸した時が多くなります。特に住宅を購入した時は、住宅ローンを組む条件に火災保険への加入を義務付ける金融機関は多いですし、賃貸の際にも不動産会社は火災保険への加入を推奨します。
火災保険に加入する時には、保険の対象を何にするのかを決めるところからスタートします。火災保険の場合、補償の対象は「建物のみ」「家財のみ」「建物+家財の両方」の3種類から選ぶことになっています。「建物」とは、建物本体やそれに付属する門・塀・物置・車庫など建物に付帯していて「動かすことができないもの」全体のことです。一方、「家財」とは家具や家電、洋服など建物の中にあり「動かすことができるもの」全体のことです。持ち家の場合は、先述の3種類から選ぶのが一般的ですが、賃貸の場合は建物に対する火災保険はオーナーが契約していることがほとんどですので、入居者は「家財のみ」を補償対象にすることが多くなります。
建物の構造も重要
火災保険の保険料は、対象を何にするかによって決まります。しかし、保険料を決定する要素はそれだけではありません。火災保険の保険料は、補償の対象となる建物が火事に強いか・強くないか、つまり建物が燃えやすいか・燃えにくいかという建物の構造によっても異なってきます。当然ながら、火災のリスクが高い建物の保険料は高くなりますし、火災のリスクが低い建物の保険料は安くなります。
保険会社は、建物の燃えるリスクを「構造級別」という基準で決めていて、建物がどのような素材で作られているかによって火災リスクの大小を示しています。具体的には、住宅物件の構造級別は「M構造」「T構造」「H構造」に分かれています。
●M構造…「マンション」構造
●T構造…鉄骨造のような「耐火」構造
●H構造…木造住宅のような「非耐火」構造
耐火性の強さは、M構造が一番強く、T構造→H構造の順番で弱くなります。火災保険では建物が燃えにくく火災リスクが低ければ低いほど保険料は安くなりますので、保険料の金額の高さはH構造が一番高く、T構造→M構造の順番で安くなります。構造級別は火災保険の保険料を算出する上で必須項目になりますので、補償対象となる住宅がどの構造なのかを確認しておきましょう。
補償の内容を設定する
そして、火災保険はカスタマイズがしやすい保険なので、補償の内容をライフスタイルに合わせて設定することができます。ちなみに、この補償の内容によっても大きく保険料は変わります。現在の火災保険の多くは、補償内容をカスタマイズできるような設計になっているので、以下のような補償内容を加えることができます。
●メインの補償
火災・落雷、破裂・爆発、風災・雹災・雪災などの補償は、基本補償としてほとんどの火災保険にデフォルトでついているものです。
●オプションの補償
水災、盗難による盗取・損傷・汚損などの被害、デモ・革命等に伴う暴力行為による被害漏水などによる水濡れ、建物の外部から物体が落ち下・飛来・衝突した時の被害などです。このオプションの補償は任意で加入できるものですので、付加するか・しないかを自分で決めることができます。
もちろん、補償の範囲を広くしておくと万が一の時に手厚い保険金を申請することができますが、保険料自体は高くなります。逆に、保険料を安くするためにオプションを少なくすることもできますが、当たり前ですがオプションで加入していないものの被害に遭った時は火災保険はおりません。火災保険に加入する際は、適切な補償の内容を決めるようにしましょう。
「保険金額」を決める
最後に、保険金額の決め方も紹介しておきましょう。火災保険の保険金額は、保険の対象となる建物や家財の価値を金銭的に評価した「保険価額」をベースにして決めることになりますが、保険価額の考え方には「新価」と「時価」という異なる考え方があります。
現在の火災保険の保険金額は、新価をベースにして設定することが一般的です。新価をベースにしておくと、火災や自然災害によりで建物や家財を失った時にそれらを新しくそろえた時と同等のものを、自己負担することなく建築・購入できる金額設定にしておくことになるので、時価ベースの時のように、経年劣化分が差し引きされないため、自己負担0円で元通りの生活を送ることができる可能性が高いです。もちろん、時価ベースよりも新価ベースの方が保険料は割高になりますが、万が一の時には心強い計算方法といえます。
ここで注意したいのが、ただ単に保険料が高くなるだけの「超過保険」と呼ばれる状態にしてしまうことです。これは、火災・自然災害のリスクを気にしすぎて新価以上の保険金額を設定することで、火災保険の補償の上限額が新価になっていることを知らずに、過剰な保険金額を設定することを指しています。例えば、新価評価額が2000万円の住宅に2500万円の保険金額を設定したとしても、火災保険の上限は新価評価額なので最高でも2000万円しか支払われないのです。まったく意味のない火災保険にならないよう、最高金額の保険金の設定は新価に合わせましょう。このように、火災保険の保険金額は新価で設定することをおすすめします。
火災保険を申請したけれど…なぜおりない?
火災保険に加入している時は、火事や自然災害によって被害が出た際に、保険会社に火災保険の申請をすることになります。しかしながら、火事はともかく自然災害による被害はハードルが若干高いように思われています。というのも、保険会社は利益の源泉である保険金を支払うことに対して積極的ではありません。そのため、「無責」という保険が支払われない方向に進んでしまうことがあります。この無責、正しい理由(意図的に傷つけた被害の補償など)があれば問題はないのですが、保険会社が払いたくないために不当な理由で無責になったケースも少なくなく、社会問題となったこともあります。以下、実際にあった無責が有責(支払)に変わった例を挙げてみましょう。
●正当な理由がなく細かい理由も言えないが無責→鑑定会社を変えたところ有責に
●雨樋が雪の重みではなく太陽熱で曲がった→メーカーも立ち合いのもと有責に
●屋根材が飛んでいないので無責→約款には記載されておらず責任者との交渉の末有責に
このように、保険会社の不払いは社会問題となり、正当な理由なしに依頼者に払うべき保険金を支払わないことが行われていたことが公になりました。様々な理由をつけて、保険金を支払わないのは不正行為ですし、残念なことに火災保険ではこのような行為が多く行われてきたのは事実です。火災保険の専門性の高さを逆利用してきた結果、このような不正が蔓延してしまったという背景があります。
火災保険の支払い率はどれくらい?保険鑑定士という曲者の存在も!
最近は是正されてきたとはいえ、火災保険の支払い率は1.4~2%といわれています。これを換算すると、何と72年に一度しか火災保険は支払われていないということになり、数十万件以上という膨大な不払いが起こっていたことがわかりました。
マスコミにとって保険会社は大スポンサーですので、報道を控えてきたという事実もあります。そのため、火災保険の不払いの事実は報道されないで長い間放置されてきました。広告費を出してもらえなくなることを恐れたマスコミも、共犯といえるでしょう。しかし、膨大な民事・刑事訴訟が頻発してしまったために、報道しないわけにはいかなくなりました。
損害保険会社も一般企業なので、利益を追求します。それは理解できたとしても、支払うべき保険金を支払わないという不正は犯罪行為です。不動産業界における、敷金を返済しないトラブルに似ている図式が、火災保険にも存在していたということです。具体的には、以下のようなことが起こっていました。
電話で不払いに持ち込もうとするパターン
宮崎県では台風による被害が良く起こりますが、住宅の屋根が台風で吹き飛んでしまったとしましょう。そこでこの被害を保険会社に報告したところ「火災保険を使って屋根の修理をするのですか」というような、正当な権利を否定される物言いをされることがあったそうです。また、一般の人は火災保険の内容を知らないだろうという前提で、火事以外の被害は修理できないと拒否の返答をされることもあるそうです。
曲者・保険鑑定士が無責に持ち込もうとするパターン
火災保険を使った工事を行う際には、保険会社から保険金の査定をするために保険鑑定士が派遣されてきます。この保険鑑定士というのがなかなかの曲者です。申請書類と実際の被害を見て、どれくらいの火災保険が下りるのかを鑑定する専門家である彼らは、保険会社に有利な鑑定をすることがしばしばあります。というのも、この保険鑑定士の資格は保険会社が認定しているからです。
保険会社の天下り先が鑑定会社!
保険会社が資格を認定しているということは、表向きにオープンにしていない場合でも、保険鑑定士が所属する鑑定会社が保険会社の子会社であることも多くあります。「第三者」というのはあくまで表向きで、実は裏でつながっているというパターンです。そのため、保険会社が事前に保険鑑定士に不払いの方向に持っていくように依頼することもありますし、不払いになった場合は逆に報酬まで渡していることもあるそうです。
これではせっかくの火災保険の意味がありませんし、活用されることなく多くの人があきらめてしまうのも無理もありません。
宮崎県のここ10年の自然災害による被害…頼るべきは経験豊富な専門会社
それでは、ここ10年間の宮崎県で起きた自然災害とその被害状況を見てみましょう。
●2010年7月2日~4日 梅雨前線
崖崩れ53、道路47、死者2人、行方不明者1人、軽傷1人
●2011年6月10日~21日 梅雨前線
崖崩れ等237、負傷者4人
●2011年9月15日~20日 台風第15号
床下浸水28 、道路損壊44、土砂・崖崩れ6、重傷者1人
●2012年4月2日~3日 寒冷前線
一部損壊18、停電12,104、負傷者21人
●2012年9月15日~19日 台風第16号
住家被害多数、死者1人
●2014年7月6日~11日 台風第8号
住家被害7棟、重傷者5人、軽傷者6人
●2014 年8月7日~10日 平成26年8月豪雨
住家被害14棟 重傷者11人
●2016年4月14日~16日 熊本地震
全壊8,668棟、死者267人
●2017年7月5日~6日 平成29年7月九州北部豪雨
全壊326棟、死者40人、行方不明2人
火災保険における不払い問題は、保険会社が保険金を支払わないために様々な機関・人物を巻き込んできたという歴史があります。つまり、組織的にその不払いを行ってきた保険会社も少なくなく、組織に対抗する必要があります。しかも、宮崎県は台風を中心に自然災害が多く発生する場所なので、火災保険を活用する機会は少なくありません。その組織力に対抗するための方法として、火災保険を活用した工事に慣れている専門業者に申請を依頼するという方法があります。その中のひとつが、株式会社ゼンシンダンです。
株式会社ゼンシンダンは、宮崎県にも多くの提携業者を抱えてします。しかも、火災保険を活用した工事に慣れていますので、保険会社以上に住宅というものを知り尽くしていて、火災保険で最大の保険金を勝ち取る術を知っています。そのため、難癖をつける保険会社に対しても簡単に反論して、文句をつけさせないだけの資料も作成します。保険会社対策として、このような専門業者に頼ってみるのも検討してみてはいかがでしょうか。
記事監修者紹介
![]() 【一級建築士】登立 健一 株式会社ゼンシンダンのwebサイト監修の他、一般社団法人 全国建物診断サービスの記事も監修。 |