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塗装を修繕した事例

塗装工事と防水工事の違いは何か?



住宅の屋根や外壁において、塗装工事と防水工事の2種類の工事があることをご存知でしょうか。塗装工事の中には防水工事を兼ねているものがないわけではないのですが、厳密には、防水工事は塗装業者ではできないもので、塗装工事は防水業者ではできないものとなっています。両方とも「塗る」作業ではありますが、塗装工事と防水工事では目的・使用する道具・材料が変わってきます。そのため、専門業者の持っている知識・技術も違ってきます。塗装も防水効果がないわけではないですが、雨漏りがすでに起こっている場合は防水工事が必要になります。防水業者は塗装業者よりも少ないですが、全国各地にありますので、必要に応じて相談しましょう。

「防水塗装」という言葉は存在しない?

屋根や外壁の工事の広告で「防水塗装」という言葉を目にしたことがあるかもしれません。実は、この言葉は造語であって正確には存在しない言葉です。というのも、塗装工事と防水工事は別々のものだからです。この2つの工事を混同して使用している、もしくは工事を依頼してくる人は違いがわからないだろうと想定してわざと使用している、という可能性があります。この混同を解消するためには、塗装工事と防水工事がそれぞれどのようなものなのかを正確に理解しなければいけません。結論としては、正しい防水効果を得るためには塗装工事だけでは足りない、ということになります。

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塗装工事とは何か

それでは、塗装工事とは何かを見ていきましょう。塗装工事とは、建物の「美観の保持」と「外的要因からの保護」を目的に行われる工事全般を指しています。塗装によって外観をきれいにし、新しい塗膜により日差し・風雨などの自然から建物を守ることを目的とした工事です。

塗装工事をすることで、塗料により新たな塗膜を作ることになります。塗膜とは、塗料が乾いて硬くなった状態のことです。この工事においては、防水は最大の目的ではありません。そのため、完全に浸水を防ぐための防水工事と比較すると、防水性の優先順位は低くなります。もちろん、塗装だけでも雨水を通さないといった防水効果が得られることはあるのですが、完全な防水を保証するものではありません。塗膜はつるつるしているので、雨水が屋根や外壁にぶつかっても下に流れていきます。ある程度の雨水の浸入を防ぐことはできても、少しの傷で雨水が浸水してしまうリスクはあります。

自宅の屋根を見た
台風関係で傷んだかもしれない
雨漏りはしていない

様々な塗装工事の種類について


では、塗装工事で解決できる防水というものはあるのでしょうか。まずは外壁の防水です。外壁には様々な角度から雨水が当たりますので、雨脚が強い時には塗装にひび割れが発生し、雨水が浸入する可能性があります。そのため、ひび割れをそのまま放置してしまうと、雨水が浸入し雨漏りにつながってしまうリスクが高くなります。そのため、外壁の防水対策のためにも塗装工事は定期的に行うべきだといえます。

外壁が受けるダメージは雨水以外にも、紫外線や強風などの外的要因の影響があります。これらの対策が必要になりきますが、何度も塗装工事を繰り返すわけにはいきません。そこで、外壁専用の様々な性能を持ち合わせた塗料を使って塗装工事を行います。最近よく利用されている塗料は、耐久性・耐熱性・耐水性に優れていてコストパフォーマンスも高いシリコン塗料です。シリコン塗料の普及率は、外壁塗装全体の70%にも上っていることから、施工実績も多く安心して使用できる塗料として認知されています。

また、勾配屋根の防水も塗装工事で行うのが一般的です。「三角屋根」とも呼ぶことのある勾配屋根ですが、屋根に傾斜がついているので雨水がたまることなく流れやすい構造をしています。しかしながら、屋根は外壁と同じく雨水・紫外線・汚れなどの自然の外的要因を受けやすい場所ですので、様々な性能・効果を持った塗料を使用することになります。最近は、勾配屋根の塗装においてもシリコン塗料が主流となってきていますし、塗装業者も施工経験が多くなっていますので、安心して施工をお願いできるでしょう。

一方、「平屋根」と呼ばれる陸屋根も、ある程度は塗装で防水ができます。しかし、勾配屋根と比較すると雨水が屋根にたまりやすいので、塗装工事だけでは完全な防水が難しくなります。まっ平らではなく排水口に向かって緩やかな傾斜が付いているものの、多少の排水ができるだけで、防水工事を行うことで完全な防水を実現します。陸屋根の場合は、シリコン系塗料ではなくウレタンゴム系塗膜防水が行われるケースが多くなっています。これは、陸屋根は伸縮する可能性があるため、ウレタンゴム樹脂のようなゴム状の防水層でなければ破損してしまうリスクが高くなってしまうからです。防水工事では「FRP」という強固な素材もよく使用されます。しかしながら、硬い防水層は防水効果こそ高いものの、ひび割れを起こす可能性が高いので、一般住宅ではウレタンゴム樹脂の方が重宝されています。

防水工事とは何か

では、防水工事とはどのようなものなのでしょうか。これは、建物の「水からの保護」を最優先にした工事で、水の住宅への浸入を完全に断つことを目的としています。防水性能がある塗料・材料を使って防水層(水を通さない膜)を形成するのですが、防水工事には大きく分けて以下の3種類があります。

① 塗膜防水
ウレタン樹脂やアクリル樹脂など、液状の防水材料を塗り重ねることで防水層を作ります。この工法は「塗る工事」ですので複雑な形状の箇所に施工できることがメリットとなります。
② シート防水
ゴムシートのようなシート状の防水材を並べて貼っていくことで防水層を形成する工法です。平面には向いている工事ですが、複雑な箇所には向いていません。
③ 複合防水
液状・シート状のアスファルトを使った工法で、シート状のアスファルトを並べて貼り、仕上げに液状にしたアスファルトを塗って防水層を形成します。丈夫で長持ちする工法ですが、バーナーのような火器を使用することになるため、経験豊富な技術力を持った職人による施工が必要になります。

この中でも、どのような場所でも施工できるために多く施工されているのが塗膜防水です。この塗膜防水は以下の2種類に分けられます。

① ウレタンゴム系塗膜防水
ウレタンゴム系塗膜防水は、ウレタン樹脂を用いた防水工事のことです。液状のウレタン樹脂に硬化剤を混合させ、防水箇所に塗って硬いゴムのような防水層を作ります。ウレタン樹脂は、マットレスに使用されるほどの弾力性を持っているのが特徴です。そのため、伸縮性が高くひび割れが起こりにくいため、屋根や外壁のようなひび割れが起こりやすい箇所の施工に向いています。しかしながら、防水層自体は紫外線にとても弱いので、トップコート(最上面の塗装)を塗って防水層を保護するといった仕上げを行いますが、3~5年ごとに塗り替えを行うことで、防水層自体を10年程度持たせることになります。
② FRP防水
FRP(Fiber-Reinforced Plastics)とは、プラスチックの防水層を形成する防水工事のことで、す。ウレタンゴム系塗膜防水よりも固い防水層を形成します。ガラス繊維を編んだシート上に、液状の不飽和ポリエステル樹脂と硬化剤を混ぜ合わせた物を塗りプラスチックの防水層を作る工法です。船やプールなど大量の水がある場所でよく使われる工法ですが、硬くて丈夫である一方、伸縮性がなく建物の揺れによってひび割れが起きるリスクが高くなります。そのため、木造建築のような湿度により膨張・収縮を繰り返すような素材を使用している場合、その伸縮に耐えられずひび割れが起こることがあるため、一般住宅には不向きという考え方もあります。防水層は硬いプラスチック材ですが、紫外線を浴び続けると劣化してしまいます。トップコートを5年ごとに塗り替えることで、防水層自体は10年以上持たせることができます。

防水工事の重要性

なぜ防水工事をしなければならないのかというと、雨水が建物に大きな被害を与えるから、というのは第一義的なもので、建物に被害が出ることでそこに住む人たちの健康にも影響が出てしまうリスクが高まるからです。一般住宅は、骨組みにあたる「構造」と屋根や壁にあたる「外装材」、電気設備や水回りなどの「住宅設備」で構成されています。この中で、外装材は突出して自然の影響をもろに受けてしまいます。何の加工もない状態ではすぐに劣化しますので、塗装工事や防水工事が必要になります。しかし、どうしても劣化は起こってしまいますので、防水機能が低下してしまった部材があると、雨水が簡単に建物内部へ侵入し、住宅の中を食い荒らしてしまいます。そして、木材に含まれる水分量である含水率が上がることでかびやシロアリが繁殖しやすい環境となり、建物だけでなく人体にも悪影響を与えることになるのです。

住宅に雨水が浸入すると、なかなかすぐには気付かないケースが多くあります。建物に傷みが出た時に、運よくすぐに気づき、修理で直れば問題はないのですが、簡単な修理だけではすまないくらい被害が広がってしまうリスクがあります。このような場合、構造部分にまで被害が及んでしまうと、被害を受けた部分を取り換えるとなると大掛かりな工事が必要になります。また、かびが増加することで健康被害もどんどん重くなってしまうことも想像できます。塗装工事・防水工事の基本は、一度にすべての処置を行うことです。建物の安全・健康の安全を守るためにも、定期的なメンテナンスを欠かさないようにしましょう。

防水工事の使い分けについて

先述の通り、一部の塗装工事でも防水ができないわけではないですが、雨水が多く降りかかるベランダやバルコニーの防水は塗装だけで完全な防水はできません。そこで、それらの暴走工事は、屋根や壁と比較して水が溜まりやすいことを考慮して、専門の防水業者に依頼することになります。

そこでおすすめなのが、FRP防水です。プールや船などで施工される工法ですので、防水性はばっちりです。ベランダやバルコニーは屋根や外壁よりも伸縮する可能性が少ないので、丈夫で固い防水層にしてかなければいけません。また、FRPの防水層は摩擦に強いという特徴もあり、最近の新築住宅のベランダの多くでFRP防水が施工されています。

すぐに工事すべきケースと業者の選び方

では、すぐに防止工事をする必要があるのはどのような時でしょうか。まずは、雨漏りや浸水が起こった場合は必ず工事が必要になりますし、部屋の湿度がいつもより大幅に上がっていたり、前回の防水工事から10年以上経っていたりする場合は、早急な防水工事を検討しましょう。

では、業者はどのように選ぶのがベストなのでしょうか。もし、以前防水工事をしたことがあって、その業者の施工に不満がない場合は引き続きお願いするのが良いでしょう。しかし、初めて防水工事を行う場合は複数の業者の見積をとる「相見積」をとることをおすすめします。相見積もりを行うと、防水工事の相場・適正価格などがチェックできますので、どの業者が真摯に工事に向き合っているかがわかります。しかしながら、極端な値引きは手抜き工事をしている可能性があるので、あまりにも安い施工費の業者は避けた方がよいでしょう。また、防水工事はアフターフォローが重要です。しっかりとしたアフターフォロー体制が整っている会社を選ぶことも、ポイントのひとつといえます。

このような業者を探し出すためには、マッチングサイトを活用する方法があります。専門業者が登録しているマッチングサイトですと、自分のお願いしたい工事に合わせて検索をかけて一覧で業者を比較できます。その中から、施工実績がしっかりしていて、長く経営を続けている業者をセレクトするのが成功への近道といえます。また、全国建物診断サービスのように全国に多くの加盟店がある業者に、火災保険の適用が可能かどうかもかねて調査を依頼するという方法もあります。

防水工事は家を守るために重要

このように、防水工事は建物自体の寿命を縮めないためにも行う必要がある工事です。そして、防水工事の工法は施工箇所に合わせてセレクトする必要があります。塗装業者の中には、防水工事ができないのに「塗装工事だけで充分」という業者もいるかもしれませんが、それは非常に危険な方法になりますし、のちのち大きなトラブルになるリスクがあります。塗装工事と防水工事の違いを正確に理解し、優良業者に依頼して塗装工事・防水工事を成功させましょう。



記事監修者紹介


【一級建築士】登立 健一
株式会社ゼンシンダンのwebサイト監修の他、一般社団法人 全国建物診断サービスの記事も監修。