雨漏り診断・修理の費用相場を紹介!火災保険でタダになるケースとは?
雨漏りを発見すると、「調査や修理にいくらかかるの?」「どんな業者を選べばいいの?」
など、さまざまな不安が発生します。また、「火災保険が適用できるの?」という疑問もよく聞かれます。
そこで今回は、雨漏りが発生した際にかかる調査費用・修理費用の相場をお伝えします。さらに、火災保険などの保険が適用になるケースについても紹介。場合によっては、修理費用が無料になる可能性もあるため、ぜひご確認ください。
目次
▼雨漏りの検査・修理は専門的知識と技術が必要!
▼雨漏り診断・修理費用の相場
▼要チェック!雨漏りの修理に保険金がおりるケース
▼できるだけお得に雨漏り調査・修理を行うための業者選び
雨漏りの検査・修理は専門的知識と技術が必要!
雨漏りしている、または雨漏り疑いがあるにも関わらず、そのまま放置していませんか?もしくは、自己流で簡単に処理してしまっていませんか?
もし、そのまま放置していたら、雨漏りによって家や健康に悪影響を与える可能性があります。
雨漏りを放置する6つのリスク
雨漏りを放置すると、下記のようなトラブルが発生し、その住宅にそのまま住み続けることが難しくなります。
◯カビの発生
雨漏りが発生すると、家のなかに湿気がたまり、カビが大量に発生する可能性があります。特に、屋根裏に水がたまると、天井にカビが広がり、部屋中にカビの胞子が拡散。カビを吸い込むと、アレルギー反応や肺炎、皮膚の異常などさまざまな健康被害が発生するリスクがあります。
◯ダニの増殖
カビの発生は、カビをエサにするダニの増殖の原因にもなります。ダニやダニの死骸・フンは、カビと同様に健康被害につながります。
◯強度低下
雨漏りによって住宅内部が水に長期間さらされると、木材が腐ってしまいます。また、濡れた状態が続くと、鉄骨部にサビが発生。木材・鉄骨の腐食は、住宅の強度、耐久性を低下させ、最悪の場合住宅が倒壊してしまうリスクがあります。
◯シロアリの発生
日本に住むシロアリのなかには湿気を好む種類もいます。そのため雨漏りによる湿度の低下や、木材の腐食は、シロアリの発生を促すリスクがあります。シロアリによる食害は、住宅の強度が低下につながるため注意が必要です。
◯漏電
住宅内に水が侵入すると、配電盤などに接触し、漏電につながるリスクがあります。漏電が火災につながることも多く、住宅の焼失したり、命が危険にさらされたりするため要注意です。
◯見栄えの悪化
雨漏りが発生すると、天井や壁のクロスが濡れてしまいシミになります。また、カビが発生すると、黒く変色してしまいます。シミやカビは、見栄え面でも大きなマイナスポイントとなるでしょう。
雨漏りの原因特定は難しい
このようにさまざまなリスクがある雨漏りには、適切な修理が必要です。そして、適切な朱里のためには、雨漏りの原因を特定しなければなりません。
しかし、雨漏りの原因や水の侵入口、雨漏りによる影響を特定するには、専門的な知識・技術が必要となります。基本的に専門家でなければ、的確な雨漏り調査はできない、と考えましょう。
例えば、天井にシミができたからといって、シミができた部分が破損しているとは限りません。家の反対側の屋根が壊れて、雨水が伝ってきている可能性もあります。瓦がずれて雨漏りが起こっていると思っていても、実は排水口の塗装がひび割れて、水が侵入している場合もあります。
実際に、修理業者が修理しても、雨漏りが改善しなかったというトラブルも発生しています。適切な修理を行うためにも、雨漏りの疑いがある、雨漏りが発生したという場合は、まず調査のプロに依頼するようにしましょう。
雨漏りの診断費用・修理費用の相場
それでは、雨漏りしているかの診断や雨漏りの調査、修理費用はどの程度かかってくるのでしょうか。ここからは、雨漏りの「診断・調査費用」「修理費用」の相場を紹介します。
基本的に、雨漏りの診断・調査に関しては、雨漏り調査会社・建物調査会社に依頼するのが得策です。修理業者が調査を行っている場合もありますが、診断・調査は専門外で、経験や知識が浅い業者も存在します。「調査の実績が十分にある会社に依頼する」ことが大切です。
雨漏り診断・調査の費用相場
雨漏りの診断・調査費用の相場は、戸建てで20万円程度です。ただし、雨漏りの疑いがある場所や検査内容などによって金額は変動するため、あくまで1つの目安として参考にしてください。
一般的に、足場の建設が必要になると、費用が高くなりがちです。そのため、ホームページや料金表には、検査費用だけが掲載されていることも多いので、見積り時には注意が必要です。
◯目視調査
費用目安
検査内容
無料~3万円程度
雨漏りの疑いのある箇所を目で見て、浸水経路を調査する。場合によっては触診や打診も行う。
検査する人のレベルによって、検査の精度が大きく変わる。目視検査で目星をつけたうえで、他の検査で精度を上げるのが一般的。
◯散水調査
費用目安
検査内容
3~18万円程度
水の侵入経路と疑われる箇所に水をかけて、雨漏り箇所を調査する。実際の雨の日に近い状態にできるため、雨漏りの実態を把握しやすい。ただし、雨漏りの疑いがある箇所に10~30分散水するため、雨漏り箇所が特定されるまで時間がかかる場合がある。
◯赤外線サーモグラフィー調査
費用目安
検査内容
18~35万円程度
水の侵入が疑わしい箇所を高感度赤外線カメラで撮影し、表面の温度差で雨漏りを調査する。雨漏りの原因を特定できる可能性が高いが、その分費用が高くなる。建物内部に侵入した水の状況も観察できる。
◯発光液調査
費用目安
検査内容
10万~25万円程度
水の侵入が疑われる箇所に、発光塗料を混ぜた検査液を流し込み、紫外線をあてることで雨漏り原因を調査する。水の侵入口がわからない場合に有効。複数個所で雨漏りが発生している場合にも用いられ、水の侵入口と流る先の両方を特定できる。
雨漏り修理の費用相場
雨漏りの原因や侵入経路、被害状況がはっきりしたら修理業者に修理を依頼しましょう。
雨漏り修理も、雨漏りの場所や被害状況によって金額が変動します。修理の場合も、足場を組む必要があるなど仮設費用が加算される場合があります。
要チェック!雨漏りの修理に保険金がおりるケース
高額な修理費用が必要になる雨漏りですが、保険が適用される場合は無料で修理できる可能性があります。ここからは、雨漏り修理に対して保険金が支払われるケースについて紹介します。
<雨漏り修理で保険金が無料になるケース>
①火災保険が適用される
②新築住宅の10年保証が適用される
③リフォーム瑕疵保険が適用される
どのような場合に保険が適用されるのか確認していきましょう。
火災保険が適用される場合
火災保険に加入している場合、雨漏りの原因によっては修理に対して保険金が支払われる可能性があります。ただし、火災保険が適用されるには条件も設けられているため、まずは契約状況を確認しましょう。
一般的に、下記の条件をクリアしていれば火災保険が適用される可能性が高いといえます。
<火災保険が適用される雨漏り原因>
・風災・雪災・雹災のいずれかに当てはまる
・雨漏りが発生してから3年以内
・修理費用が免責金額・自己負担額を超えている
反対に、下記のような場合は、火災保険が適用されません。
火災保険が適用されるか否かは、雨漏りの原因次第です。つまり、火災保険が適用される場合でも、原因が正しく特定されないと保険金が下りない可能性があるということです。調査会社選びは、火災保険の申請でも重要となります。
<火災保険が適用されない雨漏り原因>
・経年劣化による損傷
・住宅の初期不良
・リフォーム時の不良
・建物の損傷を放置したことによる二次被害
火災保険が適用されないケースとして特によく挙げられるのが、経年劣化による雨漏りです。点検やメンテナンスを10年以上怠っていた場合は、経年劣化による雨漏りと判断され、保険金が支払われない可能性が高くなります。
新築住宅の10年保証が適用される場合
新築住宅の引き渡しから10年以内の場合は、施工会社に無償で修繕してもらえる可能性があります。
これは、新築住宅に対して、施工会社が10年間の瑕疵担保責任を負うことを法律で定めているためです。
そもそも瑕疵担保責任とは、「瑕疵(建築時からの欠陥や施工不良)があった場合に保証する責任」を指します。新築であれば10年は雨漏りしないのが普通なので、10年以内の雨漏りであれば無償で修繕されます。
ただし、10年間保証される範囲は下記の部分に限定されています。
<10年保証の対象となる部分>
・礎・柱・梁・筋交い・土台など、耐久性や耐震性につながる主要な構造部分
・屋根・外壁とこれらの開口部・窓・扉など、雨水の浸入を防止する部分
さらに、新築住宅の定義には注意が必要です。新築住宅とは、「竣工後1年以内」かつ、「未入居」の住宅のことを指します。そのため、下記のケースでは10年保証の対象外です。
<10年保証の対象外となるケース>
・住宅が建ってから1年以内だが、以前に誰かが入居したことがある
・以前に誰も住んだことがないが、竣工から1年以上経ってから入居した
リフォーム瑕疵保険が適用される場合
リフォームに欠陥や施工不良があり、雨漏りが発生した場合は、リフォーム瑕疵保険が適用される可能性があります。
新築住宅に対して10年間の保証があるのと同じように、リフォームに対しても同様の保証が存在します。それがリフォーム瑕疵保険です。
リフォーム瑕疵保険では、リフォームした後に住宅に瑕疵が発見された場合に、保険会社が補修にかかる費用分の保険金を支払います。さらに、瑕疵が見つかった時点でリフォーム会社が倒産してしまっていても、リフォーム発注者が保険会社に保険金の請求を行うことができます。
<リフォーム瑕疵保険の対象となるリフォーム部分>
・耐久性や耐震性につながる主要な構造部分
・雨水の浸入を防止する部分
ただし、下記のような場合は、リフォーム瑕疵保険の対象外となるため注意が必要です。そもそもリフォーム瑕疵保険は、リフォーム業者が加入する保険なので、リフォーム会社が保険に登録していなければ活用することができません。
<リフォーム瑕疵保険の対象害となるケース>
・リフォーム業者がリフォーム瑕疵保険に加入していない
・リフォーム瑕疵保険の適用期間が過ぎている(状況によって1~10年)
できるだけお得に雨漏り調査・修理を行うための業者選び
瑕疵保険や火災保険で修理費用を無料にできない場合でも、雨漏りが発生していれば修理は必須です。しかし、雨漏りの調査・修理は高額なので、できるだけ安く依頼したい気持ちもあるでしょう。
そこで、最後はお得に雨漏りの調査・修理を行うための業者の選び方を紹介します。
雨漏りの原因特定のために目視+αで調査してくれる
雨漏りを適切に修理するためには、正確に原因を特定しなければなりません。しかし、先述のように雨漏りの原因特定は難しいものです。また、目視では見つからない場所に、複数の水の侵入口が存在する場合もあります。
そのため、雨漏り調査を目視のみで終わらしてしまう業者には注意が必要です。
画像付きで雨漏りの原因を解説してくれる
雨漏りの調査後に、画像付きで原因や状況を解説してくれる業者であれば信頼度が高いといえるでしょう。残念ながら、雨漏りの原因や状態を偽り、利用者の不安をあおったり、高額な請求を求めたりする悪徳業者も存在します。
そのため、検査段階でどのような状態なのか、調査結果について画像を交えながら丁寧に解説してくれる業者を選びましょう。
アフターサービスや保証がある
アフターサービスや保証が整っている業者は信頼度が高いといえるでしょう。ときには、修理後に、雨漏りが再発することもあります。アフターサービスや保証期間がない業者に依頼すると、万が一の際に再度お金を払って、修理しなければなりません。
築年数や家の状態にもよりますが、雨漏りの再発や保証修理期間については契約前に確認しておきましょう。
2020年6月の雨漏り対策のまとめ
今回は、雨漏りの診断や修理にかかる費用について詳しく紹介しました。雨漏りが発生すると、雨漏り原因の特定・状況把握から、修理までかなり高額の費用がかかります。ただし、状況によって上手く保険が適用できれば、無料で修繕することが可能です。まずは、いずれかの保険の対象になっていないか、確認してみましょう。
たとえ保険適用の対象外であっても、雨漏りの放置はNGです。できるだけお得に、しかし確実に雨漏りが修理できるよう優良な業者を見つけて、雨漏りを確実に修理してください。
記事監修者紹介
![]() 【一級建築士】登立 健一 株式会社ゼンシンダンのwebサイト監修の他、一般社団法人 全国建物診断サービスの記事も監修。 |